桜花舞うとき、きみを想う
「どんどん米を炊け!」
「こっち足りないぞ!」
ひっきりなしにどこからか声が飛び交った。
「中園!米を取って来い!」
もはや誰の指示なのかもわからない状況で、ぼくは烹炊所の外に飛び出し、白米が保管されている保管庫を目指した。
走りながら宮崎さんの姿を探してみたが、激しく行き交う人々の中に見つけることはできなかった。
抱えきれるだけの米を抱え、来た道を戻る。
それを何度か繰り返すうちに、だんだん視界が白い煙で遮られ、艦内はますます混乱の色を濃くしていた。
むせ返るほどの煙を吸い込み、苦しい呼吸で肩を上下させて何度目かの保管庫に到着したとき、目の前にぬぼっと誰かが立ちはだかった。
その迫力から、それが誰なのかはすぐにわかった。
「磯貝さん!どうやってここまで?危ないですよ!」
磯貝さんは、白煙の向こうで不敵な笑みを浮かべていた。