桜花舞うとき、きみを想う
ぼくの求婚に、きみはまた泣いた。
でもその涙は、もう悲しみの色を帯びてはいなかった。
「アヤちゃんは泣き虫だな」
ぼくがまたカルミンをあげると、きみは涙を流しながら微笑んだ。
「礼二さんは、わたしをお嫁さんにするっていうのに、いつまでも子ども扱いするのね」
きみは憎まれ口を叩きながら、それでもやっぱりカルミンをひと粒、口に入れた。
「だってきみは、こうすればいつも笑ってくれるから」
ぼくは、きみの柔らかい唇に、そっと接吻をした。
「必ず幸せにするよ」
きみが静かに頷いた。
きみから伝わる薄荷の涼しい香りが、火照ったぼくを癒してくれた。