桜花舞うとき、きみを想う
ぼくは窓際のベッドを使うよう指示され、そこに荷物を置いた。
部屋は想像よりも広く、巡洋艦の寝室の3倍はあろうかと思われた。
居心地は良さそうだった。
「今日のところは、訓練よりも、場の空気に慣れることを優先して構わない。それから、これを」
清水さんが、2通の封筒を差し出した。
受け取り、宛名を見ると、ぼくの名前が記してあった。
「手紙、ですか」
どちらも故郷の消印で、封筒の裏面には送り主の名があり、それを見たぼくは驚いた。
1通は実家からで、きみの名があり、そしてもう1通には広田の名があった。
「昨日、基地に届いたそうだ。空襲の安否確認の際に、ここを伝えておいたから、それで送ってくれたのだろう」
「ありがとうございます……!」
ぼくは、愛する家族、そして親友の名を見て、頭が真っ白になるほど興奮し、静かに喜びを噛み締めた。