桜花舞うとき、きみを想う
それからの日々は、毎日があっという間に過ぎていった。
起床後に貼り出されている特攻隊の掲示を見る光景も、残酷なようだが、見慣れてきた。
飛行訓練もしていないぼくの名前がここに載ることは、まだない。
そう。
まだ、ないだけだ。
このまま戦争が長引けば、いつかきっとぼくも、永山さんと同じ最期を迎えるのだろう。
少し前のぼくならば、何かと隙を見つけて逃げ出そうとしたかもしれない。
でもこの頃は、心境が違っていた。
次々と旅立っていく仲間たちのように、潔く、強く、誇り高くありたいと思うようになった。
相変わらず死ぬことは怖いが、精神を鍛えれば克服できるかもしれないとすら思った。
人が変わったように訓練に打ち込むぼくを、長くこの基地にいる先輩たちは温かい目で見守ってくれた。
そんなある日、ぼくの元に、待望のきみからの手紙が届いた。
慌てて封を切り、便箋を取り出した。