桜花舞うとき、きみを想う
写真の写りのせいか、それとも過酷な生活のせいか、少し痩せて見えたが、元気そうだ。
可憐な花柄の洋服に身を包んだきみの笑顔は、ぼくに一時の幸せを運んでくれた。
こんな洋服は見たことがなかったから、ぼくの出征後、どうにかして手に入れたのだろう。
とてもよく似合っていた。
そのまま写真を食い入るように見つめ、ベッドに寝転がっていると、散歩に出ていた同室の山里くんが戻って来た。
「何を見てるんだい」
「手紙に入っていた写真だよ」
「へえ。見せてくれよ」
手渡すと、彼はまるで我が子でも見るかのように、頬を緩めた。
「綺麗な人だな。きみの奥さんかい」
「そうだよ。アヤ子というんだ」
アヤ子さんかあ、と呟いて、山里くんはぼくの足元に腰掛けた。