桜花舞うとき、きみを想う
少佐が呼んでいると聞かされたとき、ぼくにもとうとうそのときが来たのだとわかった。
呼び出しを聞いていた周囲にも緊張が走り、ぼくの体は嫌な汗でじっとりと濡れた。
「お呼びでしょうか」
恐る恐る、指定された部屋へ赴くと、少佐が仁王立ちで迎えてくれた。
あまり接したことがない相手が醸しだす妙な迫力に、早くも萎縮してしまいそうだった。
「来てもらって早々だが、本題に入ろう。用件は察しがついていることと思う」
ぼくは生唾を飲んだ。
初めに少佐から、妻帯者、兄弟がいない者と長男は除外するという説明があった。
ただし、それらに該当していても志願したいと申し出があったときは、状況によって受け入れるとも。
説明の流れは山里くんに聞いたとおりだった。
「以上だが、質問はあるか」