桜花舞うとき、きみを想う
非国民とは、一体何なんだろう。
息子が兵隊となり戦場に行くことは、国の役に立ち、ひいては家族を守ることにも繋がる。
本心はどうであれ、激励の意味を込め、おめでとうと声をかけてもいいだろう。
それでも、戦死の報にお祝いの言葉を言わなければならないことに、ぼくは違和感を覚えていた。
名誉の戦死?
万歳?
嘆いたら、非国民?
手塩にかけて育てた我が子の戦死の報せを聞いた親に、ぼくはおめでとうと言う勇気はなかった。
それに、もしぼくの兄の戦死通知が届いても、きっとめでたいとは思えないだろうと思った。
おめでとうと言われても、きちんと対応できる自信がなかった。
この国の考え方が、ぼくには合わなかった。