アゲハ~約束~

2.

「オレ、ルフナ=ウォーカー。フリーのカメラマン。よろしく。」



 何とか我に返った三人がバーベキューの輪の中に加わると、ようやくチビたちや高校生集団も加わって、そこはパーティーとなった。

 ルフナもだいぶおなかが満たされたようで、肉は、主役たちに譲っている。


 米は、譲らなかった。


 彼はアゲハに近づくと、了解も取らずに隣に座り、彼女の顔を覗き込んだ。



「君、名前何?」

「・・・名乗らなくちゃいけないの?」



 彼に胡散臭いというイメージしかもっていなかった彼女は、やすやすと名前を教えるようなことはしなかった。

 けれど彼がにっこりと笑って、教えて、というから、仕方なく、アゲハは自分の名前を口にした。



「・・・アゲハ。」

「アゲハ?アゲハ蝶のアゲハ?」

「そう。」

「へぇ。」



 綺麗な名前だ。

 彼は、青い目を細くしてそういった。

 その笑顔にどきりとしながら、アゲハは仏頂面を彼に向けたまま、別に、と、呟いた。

 これだけそっけなくしたら、居辛くなってどこかに行くだろうとおもって、意図的に冷たくした節もある。


 けれど、ルフナはそんなことまったく考えもせず、ずいずいと近寄ってきて、話を続ける。

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