アゲハ~約束~
――――ああ、いつもの。
家を確認したときの、家人のこの表情は、何度見てもつらい。
傷に塩を塗りこまれたような顔をするのだ。
その気持ちは、わかる。
死んでしまった人を訪ねてきた人間を、どうやって帰らせていいものか、悩むところだ。
けれど、アゲハが用があるのは生きている人間だ。
彼女は柔く微笑むと、そっと封筒を差し出した。
「・・・あの墜落した飛行機に、乗られていましたよね?上田美佐子さん・・・。」
「・・・ああ。」
「私の知り合いも、同乗していました。これは・・・彼が、搭乗前に上田さんと撮った写真です。」
「――――っ・・・」
それを聞いて、彼はあわてて封筒を受け取ると、写真を中から取り出した。
そこでは確かに、彼女がこの住所を書いたスケッチブックを持って、笑っている。
こっちに向けて、笑っている。
「美佐子っ・・・」
家を確認したときの、家人のこの表情は、何度見てもつらい。
傷に塩を塗りこまれたような顔をするのだ。
その気持ちは、わかる。
死んでしまった人を訪ねてきた人間を、どうやって帰らせていいものか、悩むところだ。
けれど、アゲハが用があるのは生きている人間だ。
彼女は柔く微笑むと、そっと封筒を差し出した。
「・・・あの墜落した飛行機に、乗られていましたよね?上田美佐子さん・・・。」
「・・・ああ。」
「私の知り合いも、同乗していました。これは・・・彼が、搭乗前に上田さんと撮った写真です。」
「――――っ・・・」
それを聞いて、彼はあわてて封筒を受け取ると、写真を中から取り出した。
そこでは確かに、彼女がこの住所を書いたスケッチブックを持って、笑っている。
こっちに向けて、笑っている。
「美佐子っ・・・」