アゲハ~約束~
 アゲハの足が、海に、飲み込まれる。

 ―――――72枚の写真に囲まれて、ただ座りつくしていたあの日。

 一条の光のように見えたのは、この言葉だった。




 アイニユケバイイ。




 ―――あの日、決めた。

 この写真を、一枚一枚、配って回って。

 どれくらいかかるのかはわからないけれど、とにかく、配って。

 そうして彼がやりたかったことを代わりにやって、それが終わったら。


 ―――あいに、行こうと。


 ルフナのところに、行こうと、決めていた。



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