アゲハ~約束~


 だって、耐えられなかった。


 彼のいないこの世界で生きてゆくなんて、そんなこと、考えられなかった。


 私はいつの間にこんな、弱い人間になったの?


 いつの間にこんな、誰かに依存して生きるようになったの?


 そんな、自分を責める声も聞こえる。


 けれど、その声はみんな、「寂しい」という叫びにかき消されて、アゲハの胸までは届かない。



「・・・いま、行くからね。」



 アゲハは、笑った。




 彼女のふくらはぎを、波がぬらした。




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