アゲハ~約束~
「まって!」

「!」



 後から夏梅が追いかけてくる声が聞こえて、あわてて引き返して、彼女の腕をつかんだ。

 そのまま強引に引っ張って、幸人は、走った。


 まさか。


 まさか、ないよな?

 吸い込む息で、のどが切れる。

 泣きたいような気持ちが、胸の中にこみ上げる。



 お前は、そんなことしないよな?



 祈りにも似た気持ちで、歯を食いしばる。





「先に行って!」





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