アゲハ~約束~
 幸人の速さについてゆけなくなった夏梅が、手を振り払う。


 幸人は振り払われた手をぐいっと前にもっていって、そこからはもう、手を前後に振ってひたすら全力で走った。


 自分の背丈と同じだけある防波堤に邪魔されて、海は見えない。


 必死で走って、防波堤から海岸に下りる階段を、駆け上がって、駆け下りて。



「っ・・・」




 どこだ?




 どこにいる?!


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