アゲハ~約束~
 左右に目を凝らして。

 右前方にゆれる人影に、幸人は目を見張った。


 誰かが、海の中へ進んでいる。


 両手を水面に平行に上げて、腹か胸の辺りまで、水に浸かっている。


 ―――すぐにわかった。




 アゲハだと。




「―――――アゲハぁぁぁ!!!」

「!!」



 自分でも、こんなスピードが出せる足を持っているなんて、知らなかった。

 それくらい早く走って、幸人は、海の波をかきわけて、アゲハに駆け寄る。




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