アゲハ~約束~
「それでね、日本にいる間泊まる場所がないっていうから、うちに泊まったらどうかって思ってたのよ。」

「えっ・・・本当ですか!?」

「やっぱり・・・」



 驚きをあらわにするルフナと、やっぱりをため息混じりに呟く三人。

 この園長のお人よしは何も今に始まったことではなく、それゆえに、行き場のない人間が数ヶ月間園の中にいることも、しょっちゅうだった。

 最近ないと思っていたけれど、それでもやっぱり、あるものなのね。

 アゲハはため息をついて野菜を口に運ぶ。



「いやー、良いんですか?!本当に!」

「その代わり、働いてもらいますよ。掃除洗濯、それに行事のたびに写真を撮ってもらいます。」

「そんなの!!」



 写真を撮る。園長がそういうと、彼は目を輝かせて立ち上がった。



「いいんですか?!嬉しい!子供たちの写真が取れるんだ!」



 ぴょんぴょんと飛び回ると、彼は傍らに置いたカメラを構え、早速子供たちの群れの中に飛び込んでゆく。

 子供たちは、彼の無邪気な様子につられて、きゃぁと声を上げながら、そのレンズに笑顔を向けた。



「・・・また変なのが増えたな。なんか人がよさそう。」



 頬杖をつき、やれやれと幸人がため息をつく。

 けれどその顔は、どこかほころんでいる。



「でも、彼、きちんとしたら結構格好いいんじゃない?」



 夏梅は年頃の女の子らしくルフナのルックスにチェックを入れる。


 けれどアゲハはといえば・・・



「・・・騒がしくなるわね。」



 表情を崩さず、持っていた紙皿を机に置いて、立ち上がった。


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