アゲハ~約束~
「悟さん?!」



 びっくりして、幸人が立ち上がる。

 二人はなにやら大きな黒い、四角いバックを抱えて海岸へ降りてきた。



「まぁまぁ、こんなところにいたのね?!朝からずっと待っていたのに・・・」

「すみません、一悶着あって・・・あの、悟さんはどうして・・・?」



 アゲハに代わって、応対は幸人だ。

 悟は幸人に何故ここにいるのかを尋ねられると、にやっと笑った。

 ―――とても、あの時意気消沈しきっていた人物と同一人物とは思えないほど、悪戯っぽく。



「お前らに届けなきゃならねぇもんがあってな。」



 そういって彼は、小脇に抱えたバックをアゲハの前におく。


 それは防水加工のしてある、クーラーボックスのような形をしたものだった。



< 136 / 146 >

この作品をシェア

pagetop