アゲハ~約束~
「アゲハ!・・・ルフナ、約束みんな守ったよ!・・・帰ってきてくれたよ・・・っ!!」



 夏梅が、半分ないているような声で、アゲハの肩をゆする。

 アゲハは信じられないというような目つきでそのカメラを見つめたあと、そっと手を伸ばし、それを手に取った。

 カメラは、墜落の衝撃でレンズが割れている以外は、綺麗なものだった。

 こんな簡素な、防水だけしかとりえのないようなバッグがあの墜落から無事に大海原を漂っていただなんて、誰が信じられるだろうか。


 けれど、これは紛れもない、真実。



 真実なのだ。



 本当に、ルフナは帰ってきた。




 アゲハとの約束を、守って。



「・・・ルー・・・っ・・・!」



 アゲハは、そのカメラを強く抱きしめた。

 携帯と一緒に、強く抱きしめた。



 夕日が水面にキスをして、だんだんともぐりこんでゆく。


 彼女は日が暮れるまで、ずっとそこで、果たされた約束に涙を流していた。

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