アゲハ~約束~
「・・・くるんでしょ?どうせ。」

「え?」



 そして、独り言のように呟く。



「明日の花見―――・・・来るんでしょ?あの人。」

「え、あ、ああ、うん。」



 人見学園では、毎年桜の季節になると園をあげて花見に出かける。

 それをさしていると気づいて幸人がうなづくと、彼女は本を棚に戻し、そして――・・・

 面白くなさそうにではあるが、いった。



「・・・そのときにでも、すこしは話してみるわ。」



 その顔は・・・本当に面白くなさそうだ。

 けれど、その答えに、幸人は納得してうんとうなづく。



「・・・よし。えらい。」



 立ち上がったアゲハにあわせて、立ち上がる。



 顔を覗き込むと、やはりむくれた顔をしていた。



< 17 / 146 >

この作品をシェア

pagetop