アゲハ~約束~
「・・・花びら。落としたら?」

「うん。でも、アゲハもついてる。」



 ルフナはそっとアゲハに手を伸ばし、髪についた桜の花びらをつまんだ。

 それから、そっと、アゲハの髪に触れ、微笑む。



「・・・きれいな髪。」

「―――・・・」



 まるで愛しむように彼はそういって、三度、彼女の髪を手で梳いた。

 その口元に、穏やかな笑顔を浮かべて。



「・・・ねぇ、撮らせて?」



 そして、唐突に彼はその手をカメラに移し、構える。



「え、ええ?」



 戸惑うようにアゲハが後ずさると、彼は中腰になってカメラをアゲハに向けた。



「そのまま!動かないで。―――そう。」

「・・・」



 恥ずかしいような、変な気持ちで、アゲハの心臓はいつもより高鳴っていた。

 なぜかカメラ越しに彼と向き合うのが怖いような気がして、目をそらしたまま動きを止める。

 パラッというシャッター音が響きルフナが身体を起こすと、ようやくアゲハは、そろそろとルフナに目をやった。



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