アゲハ~約束~
「有名な写真家なんだぞ?!写真界で知らない人はいねぇんだ!」

「ははは・・・大げさ、大げさ。」



 ルフナは、まるで他人事のように笑っている。

 けれど、そのすごさは正人の感動が物語っている。



 そういえば・・・まだ誰も、ルフナの写真を見たことがない。



 そういうと、正人はすぐさま自分のカバンを漁り、定形外の、真四角の本を差し出して、見ろ!と叫んだ。

 アゲハはいわれたとおり、その写真集を広げる。

 後ろには、ギャラリーが集まっていた。




 そして、その本を広げた、瞬間。





「―――――・・・」



 ―――息をのむとは、こういうことかと。


 実感させられた。



 紫色の日の出。



 今にも開きそうな花のつぼみ。



 そのどれもが鮮やかで、引き込まれる。


 そしてどの写真よりも輝いていたのは―――・・・





 噴水と戯れる褐色の肌の子供たち。




 それを、映し出した写真だった。

 その後も続く、人々の割れるような笑顔の写真。 

 それは完璧にカメラマンに心を許した笑顔であり、光に包まれているかのようだった。



< 26 / 146 >

この作品をシェア

pagetop