アゲハ~約束~
「ウォーカーさん。」
「はい。」
「・・・日本に滞在中うちにいらっしゃることは構いません。私たちとしても大歓迎です。・・・けれど・・・忘れないで。ここにいるのは、すこし特殊な事情をもった子供たち。・・・安易に深いところを探ってしまうようなことだけは、しないでください。」
「――――・・・はい・・・」
―――ツキン。
胸が痛んだ。
ルフナは、その痛みをごまかすために、ジャケットの胸の辺りを握り締める。
―――自分が育った環境は、決してとても恵まれているとはいえないと、思っていた。
裕福なわけでもなく、望むものが何でも得られるような育ち方ではなかった。
一昨年両親が二人そろって事故で亡くなり、天涯孤独の身となった自分は、すこしかわいそうなのではないかと思っていた。
けれど、そんなことを思っていた自分の傲慢さに今更になって気付いた。
・・・それがとても、恥ずかしい。
両親は、確かに今はもういない。
けれどその代わりに、一番自分が彼らを必要としていた幼少時代に、惜しみない愛情を注いでくれた。
本気で叱り、本気で褒め、本気で抱きしめ、愛してくれた。
それは、ここにいる少年少女たちが、もっともほしがっているものなのだ。
つまりは―――・・・そう。
自分は両親に愛されていないのだと思ってしまっている子供たちもいるというわけで。
そんな子供にとって、何も知らない人間に、「あなたは親に愛されている」などといわれても、それは傷つけるだけの言葉になってしまうのだろう。
「はい。」
「・・・日本に滞在中うちにいらっしゃることは構いません。私たちとしても大歓迎です。・・・けれど・・・忘れないで。ここにいるのは、すこし特殊な事情をもった子供たち。・・・安易に深いところを探ってしまうようなことだけは、しないでください。」
「――――・・・はい・・・」
―――ツキン。
胸が痛んだ。
ルフナは、その痛みをごまかすために、ジャケットの胸の辺りを握り締める。
―――自分が育った環境は、決してとても恵まれているとはいえないと、思っていた。
裕福なわけでもなく、望むものが何でも得られるような育ち方ではなかった。
一昨年両親が二人そろって事故で亡くなり、天涯孤独の身となった自分は、すこしかわいそうなのではないかと思っていた。
けれど、そんなことを思っていた自分の傲慢さに今更になって気付いた。
・・・それがとても、恥ずかしい。
両親は、確かに今はもういない。
けれどその代わりに、一番自分が彼らを必要としていた幼少時代に、惜しみない愛情を注いでくれた。
本気で叱り、本気で褒め、本気で抱きしめ、愛してくれた。
それは、ここにいる少年少女たちが、もっともほしがっているものなのだ。
つまりは―――・・・そう。
自分は両親に愛されていないのだと思ってしまっている子供たちもいるというわけで。
そんな子供にとって、何も知らない人間に、「あなたは親に愛されている」などといわれても、それは傷つけるだけの言葉になってしまうのだろう。