アゲハ~約束~
「・・・はい。」



 間の抜けた声が、ホールに響いた。



「え・・・?」



 声のしたほうを、振り返る。

 目の前に覆いかぶさる髪が邪魔で、よく見えない。



「・・・なんでしょう。」



 アゲハは急いで髪をかきあげて、入り口に目を凝らした。



 ―――いや、目を凝らさなくても判っていた。



 この声。



 間の抜けた返事。






「・・・ルフナ・・・?」





 そこにいたのは、長身痩躯のだらしのない外国人。




「ルフナ?」










 ルフナだった。







 ――――ルフナが、そこに、いた。



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