アゲハ~約束~
 そして、振り返って。

 ふっと笑った。



「嫌いって言わせてくれる、ルーが好き。」

「―――・・・」

「素直に嫌いって言わせてくれる、ルーが好き。」



 世界で一番、ルフナが好き。


 三度、好きという言葉を繰り返した。

 そしたら、ルフナは固まって。

 しばらくして、ととっと、後にのけぞってしりもちをついた。


 ・・・無言のまま。



「・・・びっくりした。」

「ええ?」

「今まで見たことないような笑顔で、そんなこと言うんだもん。―――きっと、撮れちゃった。」



 間抜け面をして、彼は、カメラを示す。



「ちょっ・・・どんな顔?」

「すごく、可愛い笑顔。」

「やだ、恥ずかしいから消して!」

「オレのデジカメじゃないもん。」



 現像が楽しみ。

 彼はそういって笑うと、立ち上がって走り出した。


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