アゲハ~約束~
「え・・・おい、これ・・・」

「NHK!」



 あわてて、夏梅がチャンネルを回した。

 NHKでは、緊急ニュースとしてその墜落事故が扱われている。

 能面のような顔をして、キャスターが事故の詳細を読み上げていた。



『日本人の乗客は今のところいないと見られ・・・』



「――――・・・」



 ドクン、ドクン、ドクン。

 アゲハの、心臓が強く苦しく拍動する。

 足先、手先が、冷たくなってゆくのが判る。

 まさか、ありえないよねという気持ちと、もしかしてという気持ちが交差して、頭の中がぐちゃぐちゃだ。



「だ・・・大丈夫だよ、アゲハ。ルー、悪運強いし・・・」



 とっさに夏梅がアゲハの肩を抱く。

 外から見て、アゲハの顔は真っ青だった。



「大丈夫。・・・きっと・・・」



 肩をさすって、大丈夫と彼女は繰り返す。


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