アゲハ~約束~
 だがキャスターは、そんな彼女らのことなどまったく知らずに、画面の向こうで無慈悲な言葉を吐き出した。



『なお、乗客のうちに、有名な写真家であるるルフナ=ウォーカーさんが乗っていたと見られております。』



「―――――――――・・・・・・」




 プツン。




 何かが切れる音がした。

 アゲハは目を開いたまま、まるで気を失ったかのように崩れ落ちる。


 その様子は、糸を切られた操り人形に似ていた。



「アゲハ?!アゲハ!!」



 ―――遠くで、夏梅の叫ぶ声が聞こえる。

 アゲハは朦朧とする意識の中で、ルフナが残していった携帯を手に取る。




 それは冷たく、電源が、切れたままだった。




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