恋花よ、咲け。




いい奴なんだと言われて
不覚にも固まってしまった。


その時の佐々木の顔が
今までとは全く違い 前を見据えたような
力強い瞳だった。


更ににこっと笑ってみせた。


その笑顔が
無邪気で 純粋で 強くて 大人びていて。


グッと引き付けられてしまったのだ。


その後は 声が出なかった。


だけど ふと思う。


『必ず高木を手にいれるよ。』


ダメ やっぱダメだよ。


佐々木は奈穂が好き。


私が割って入っても 佐々木の気持ちは
絶対に揺らがないよ。


私が入る隙なんかない。


だけど奈穂は瑞月の事が好き…。


いや 私はこの気持ちを認めない。


まだ それが恋の花なのか
分からないんだから。




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