恋花よ、咲け。




時計はもう8時30分を指そうとしていて
下から「ちょっと健吾、お風呂は!?」
と 母さんの声が聞こえてくる。


「分かったよ、入るから!」


メールを送信してから
躓きながらも 階段をかけ下りた。


_____。

翌日
昨日は鳴らなかった携帯が鳴る。


高木からだった。


_______________
>>高木 奈穂
08/15 19:58
件名:ありがとう

昨日は電話とメールありがとう。

今日は大分熱も下がったんだ。
でも明日は休もうと思って。
お母さんがダメだって。

でも元気になったよ。 ありがとうね。
じゃあ また明日ね!

_______________


何とも高木らしさの滲み出たメールだった。


だから すぐ近くに
高木の存在を感じて にやけてしまう。


メールは返さなかった。


昨日倒れて ぐっすり眠れば
今日熱は下がるけど
体力は絶対に戻らない。


これくらいしか
気づいてあげられないからな。


「…お大事に。」


声は高木には 届かないまま 夜空に消えた。







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