恋花よ、咲け。
_____。
「わぁ、焼けてるー!」
「りにーこそ!
50塗りまくったんだけどねー…。」
はしゃぐりにーとわっちゃんに
優しく微笑みながら
そっと視線を写す。
新学期が始まったのに
弘也と佐々木の間には
まだまだ遠い 長い距離がある。
一緒にいるのに 笑っているのに
言葉を交わさない 目を合わせない。
きっと 気が付いているのは
私 たった一人だろうな。
南くんや加川くんは
何も察していない瞳をしていたから。
「それに比べて白いよねー、奈穂は。」
いきなりりにーが話を振ってきた。
「え、それは2人がテニス部だからだょ!
りにーはチャリ通だし!」
「んまぁね、そうなんだけど。」
浮かない顔をするりにー。
私もその理由に気づく。
「…潤? どこ見てるの?」
確かに 気付かなかったのがおかしいくらい
今日 潤に元気がない。
よく晴れて 嫌というほど照りつける
大きな太陽を ただただ見つめている。
「…潤?」
「は、あっ、えっ、何だった?」