恋花よ、咲け。




_____。

「わぁ、焼けてるー!」


「りにーこそ!
50塗りまくったんだけどねー…。」


はしゃぐりにーとわっちゃんに
優しく微笑みながら
そっと視線を写す。


新学期が始まったのに
弘也と佐々木の間には
まだまだ遠い 長い距離がある。


一緒にいるのに 笑っているのに
言葉を交わさない 目を合わせない。


きっと 気が付いているのは
私 たった一人だろうな。


南くんや加川くんは
何も察していない瞳をしていたから。


「それに比べて白いよねー、奈穂は。」


いきなりりにーが話を振ってきた。


「え、それは2人がテニス部だからだょ!
りにーはチャリ通だし!」


「んまぁね、そうなんだけど。」


浮かない顔をするりにー。


私もその理由に気づく。


「…潤? どこ見てるの?」


確かに 気付かなかったのがおかしいくらい
今日 潤に元気がない。


よく晴れて 嫌というほど照りつける
大きな太陽を ただただ見つめている。


「…潤?」


「は、あっ、えっ、何だった?」





< 130 / 225 >

この作品をシェア

pagetop