恋花よ、咲け。
始業式。 久しぶりに会うクラスメイト。
まだ確かに暑いけど 教室は涼しい。
今日もバスで来たから 熱中症はない。
…じゃあ 何で?
「…どうしたの? 潤元気ない。」
何でなのか 分かってやれない自分が虚しい。
「ううん、何でも。
ただちょっと 考え事だよ。」
考え事… 潤がそんな顔で
何を考えるの?
思い付くのはバスケの事だけ。
でも それなら私に話してくれるよね?
笑顔になった潤に
りにーとわっちゃんは安心した様子。
だから私も 大丈夫かな って思った。
だけど一瞬だけ
潤の瞳が揺らぐと言うか
さ迷った気がして 私だけは 笑えなかった。
佐々木も潤も弘也も
みんなみんなが 色々な感情を
心の奥に潜め 私に隠したまま
新しい学期 過ぎ行く季節のなかを
それぞれが生きようとしていた。
その色は様々で
黒か白かその間か 自分にだって分からない。
だけどただひとつ言うのなら
何も知らない幸せがあると言う様に
何も知らない不幸せがあると言うこと。
…私は何も 知らないのです。