恋花よ、咲け。
flower.5 私たちの距離




始まった新学期。


季節は移り変わろうとしていて
それでもまだ長袖が暑い頃。


催された体育大会。


「がんばれぇーーーっっ!!」


私は走っていた。


グラウンドをあと一周。


800m女子は うちのクラスの女子に
希望者はいなくて
仕方なく引き受けたのだが
初めに飛ばしすぎた分
そのあと一周がかなりキツい。


だけど……。


「がんばれぇーーーっっ 高木!」


あなたの声が私の体に
大きな大きなエネルギーを注ぎ込む。


_____パンッ。


「はぁはぁはぁはぁはぁ。」


体は酸素を求め続ける。


足が重くて 歩くのがやっとだった。


そして じわじわと聞こえてくる歓声。


「高木ーーー!」


何より強く聞こえる あなたの声。


「やったぁーーっっ!」




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