恋花よ、咲け。
一番でフィニッシュしたその快感に
足の重みや 体の疲れは吹っ飛ぶ。
「なかなか、キツかった、けどね。
はぁ はぁ はぁ はぁー。」
私に抱きつく潤に言う。
「そんな 一着だよ?
もう 奈穂最高だよ!」
私を囲むクラスのみんなが温かく
一位を取った私を祝福してくれる。
「じゃあ 次私達だから 行ってくる!」
次が出場競技のわっちゃん。
わっちゃんは足が早いから 短距離。
「頑張ってね。」
みんなで背中を押す
この姿勢がすごく優しくて
このクラスで良かったと思える瞬間。
タオルで汗を拭ってから
後ろを振り返った。
「ごめん 飲み物取ってもらってもいい?」
声をかけた相手の声に びくりと体が跳ねる。