恋花よ、咲け。
「いいよ。 これだよね?」
「ぇ…?」
「こ・れ・?」
可愛く首をかしげた弘也に
拭った汗がまた吹き出る。
「うん、それ。」
弘也が優しく笑って
そっと私の水筒を手に取った。
私の水筒を 弘也が…!
「はい、お疲れ様。」
水筒を差し出す弘也の指と
水筒を受け取る私の指が トンッと当たる。
「…ありがとう。
すごくギリギリだったけどね。」
中に 沢山の氷が入っているから
水筒はかなり冷たかった。
「ううん、ぶっちぎりだったよ!」
椅子に座る私は 弘也を見上げた。
太陽が眩しくて 目を細める。
「誰よりもキレイに走ってたよ。」
そう言って 私のとなりにしゃがんだ。