恋花よ、咲け。




そして両手を前につきだし
「手伝う。 半分くらい持つよ。」


顔は真剣そのもので
私は遠慮なんて忘れて
素直にノート半分を差し出した。


確かに 重かったからね。


「ん、意外と重い…。
ったく 戸川の奴
女子にこんな重いもん持たせやがって。」


弘也が皮肉っぽい顔をして言う。


「いや 私係りだから!」


「だからいいの。」と続けた。


そして暫くの沈黙の末
「俺がずっと応援してるから。」
と あなたが言ってくれた。


「……ぇ…。」


初めは声が薄くなって
なかなか言葉にできなかったけれど
あなたのあまりに真剣な表情が
優しく微笑む柔らかい表情になった時
私はやっと 言葉を紡ぎ出せた。


「えと それは一体…。」


告白だとは思わない。


だってあなたは私を好きじゃないから。




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