恋花よ、咲け。
「…あ、潤 先に行ってて。」
「了解。」
潤は、分かっていたかのような顔で
奈穂を見た。
そして、少しウキウキで
楽しそうに
奈穂と健吾に背を向けた。
潤が見えなくなってから
奈穂が口を開いた。
「…アドだよね?」
健吾はそこまで大きくないから
視線を戻せば
目が合ってしまう。
「…あのさぁ
弘也が大袈裟に言ったんだよ。
可愛くないって訳じゃなくて
こんな早い段階でアド交換だなんて
望んでないんだょ。
弘也が 「それじゃ アド交換しよ!!」
とかって言って…。」
奈穂は顔をあげてみた。
健吾は
真顔なのに すごく赤くなっていた。
「…ごめんね、急で。」