恋花よ、咲け。
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その日中 奈穂は揺れていた。
弘也へのときめきには
到底劣るものなのだが
健吾の笑顔が 頭から離れない。
フラッシュバックのように
何度も何度も
頭に浮かび グ〜ルグ〜ルとうごめく。
それでもやはりこの時は
奈穂の心は 弘也に向いていて
何にも気づかないのだ。
一番大切なものに気づくのには
時間が必要であり
時には 何かを失わなくてはならない。
奈穂は
いつ気づき 何を手にし
何を失い 何に涙を流すのか。
奈穂の恋は
笑って泣くだけでは
終わらないのであった。