恋花よ、咲け。




『…卑怯なことすんの 辞めにしな?』


『…奈穂は 真っ直ぐだよ。
佐々木に取られたくないなら
自分でちゃんと伝えてきなよ。

そういう汚いことしないで
ダサいことしてきなよ。

好きなんでしょ?』


好きだから 例えカッコ悪くても
しっかり伝えてこなきゃいけない。


それは分かるさ。


俺が伝えなくちゃ 高木が振り向かない。


それだって分かる。


だけど "好き"と言うのは容易なことではない。


積み重ねてきたものがあるからこそ
"好き"を伝えられる。


この事も よく分かっているんだ。


教室に戻る足が やたらと重い。


大峯に怒られてしまうだろうか。


だが 仕方がないか。


俺が意気地無しだから。


今はその時じゃない。 そう思うんだから。


気は向かなかったが 教室へと足を進めた。




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