恋花よ、咲け。




_____。

高木の額に 優しいキスを残すと
俺はその場を去った。


が 北側校舎に向かおうとした時
そこに人影があるのに気付いたんだ。


絶対に弘也だな。


このまま弘也に出会して
今以上にピリピリするのが嫌だった。


だからあえて 用事も何もない
南側校舎に向かったんだ。


だが 先にココを去るのは失敗だった。


俺が居なくなった後に
弘也が高木に 手を出さないだろうか。


俺がフラれたのを見ていたのなら
有り得ない訳じゃないだろう。


わざわざ遠回りをして
弘也に出会すのを避けたのに…


だが 今日は大希と約束がある。


だから こんなとこでうじうじしてらんない。


教室へと足を早める中
俺はさっきの出来事を ゆっくり思い出していく。


好きだと伝えた後の 高木の混乱した顔。


ぎゅって抱き締めた時の 高木の香り。


更に力を加えた時に すっぽりの腕に収まる小さな高木。


額にキスを残した時の 固まった表情。


そういうスキンシップに慣れてない感じが
また愛しく思えた。




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