恋花よ、咲け。




桜並木を過ぎたところにあるバス停。


この季節には 桜を思わせるものは
何一つない ただの寂しい木々も
春を迎えれば 一面にピンクを敷き詰め
通る者の足を 自然と止めさせる。


長い長い並木道を越え バス停が見えてきた。


「………ぅそ…。」


間違いない。


あのエナメルバックは 佐々木のもの。


ゆっくり近付くと さっきまで動いていた頭が
力を抜き コツンと柱に重みを預けた。


「……寝てる。」


こんなに寒いっていうのに
相当疲れていたのか 静かに眠りについていた。


今日 佐々木に告白された。


想像もしなかった事が 現実になった。


私の頭が混乱するのも 無理ないでしょう。


今日がむしゃらに3Pシュートを打ち続けたのも
きっと 何もかもぐちゃぐちゃで
訳が分からなかったから。


佐々木のこと 嫌いじゃない。


だけど 弘也のことは大好きなんだ。


こんなにも
2人に対する想いの大きさが違うのに
私は何を迷っているのだろう。


何に混乱しているのだろう。




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