恋花よ、咲け。
不意に 隣ですゃすゃ眠る
温かい表情をした佐々木の頬を
ぎゅっと摘む。
柔らかそうな頬に 触れたかった。
全部 無意識だった。
鼓動も高鳴らない、顔も赤くならない。
私の手より冷たい佐々木の頬。
色々なことが 頭を回る。
この頃ずっとそうなんだ。
弘也が好きで 好きで 好きすぎて。
弘也が好きすぎるから 離れたくなる。
だから あなたと話すことがなくなった。
あの時 気持ちを伝える決意をしたのに
そのせいで 私たちの間には
大きな距離ができたんだ。
あのまま 私が平気でいたら
決意とか緊張とかしなければ
あなたは私に 恋していたのかな。
例えそれが有り得なくても
今よりかはずっとイイ仲だったろうな。
話せない。
目すら合わない。
ただずっと 見ているだけ。
このもどかしさにいつしか
私は疲れていたのかもしれないね。
「…んっ。」
今目の前にいる人は そんな私を
優しく そして温かく
そっと大事に 包んでくれるだろう。