恋花よ、咲け。




_____。

「…んっ。」


「……疲れちゃったよ 弘也。」


頬を温かな指が摘まむ。


柔らかな高木の香りがした。


"疲れちゃったよ"


これは一体 何を意味するんだろうか。


うっすらと目を開けた。


高木は当然 気が付かない。


ただひたすらに 歯を食い縛っていた。


きっと ずっと辛かったんだろうな。


お前ら両想いなのに 通じないなんて
ちょっと不思議すぎだぞ?


高木はきっと 舞未が弘也の彼女だって
本気で思ってんだよな。


俺が本当にイイ奴なら
高木と弘也をくっつけてたな。


だけど そんなん冗談じゃねぇ。


何で 俺がそんなお人好しになんなきゃ
いけねぇんだよ。


俺なら 絶対に苦しませない。


自信ならいくらでもあんのに…。


弘也なんか 大嫌いだ。


頼むから高木、そんな顔見せるなよ。


「……泣けよ 思いっきり。」




< 193 / 225 >

この作品をシェア

pagetop