恋花よ、咲け。




彼女をこんなに泣かせているのは
もしかしたら俺なのかもしれない。


俺 → 高木 → 弘也


全部が一方通行だと思ってんだよな。


だから 間の高木が一番辛いんだ。


ごめんな 苦しめたりして。


俺が好きとか言わなければ
高木は今も これからも
ただただずっと 弘也を見ていられた。


そして いつしか結ばれて
笑顔で俺にこう言うんだ。


「私 今とても幸せっっ!!」


向日葵のような笑顔を そっと浮かべて。


なぁ、俺はそんなにお人好しじゃないんだ。


だけど 高木の涙は見たくない。


これはお人好し要素なんかじゃなくて
ただの俺のエゴだ。


君が笑ってくれるのならば
俺は何だってやってやろう。


険しい山も 波の高い海も
焼くように暑い砂漠も 凍るように冷たい氷河も
何だって乗り越えてあげる。


早く 気が付けば良かったな。


「…なぁ高木。」


「………んっ…?」


「…弘也は今 噴水の公園にいるぞ。」




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