恋花よ、咲け。




_____。

丁度8時をまわった頃 あの公園にいた。


「ヒロ 遅いよ。」


「……ごめん。」


今日は珍しく 制服姿だった。


舞未は私立校だ。


毎日 電車とバスで50分かけて
頭のイイ学校と家を行き来する。


「…今日は 何の用?」


用件くらい分かっている。


"返事を聞かせて。"


どうせそんな事だろうと思っていた。


"ごめん。"


そう返せば済むと そう思っていた。


今日 額にキスをされて
ドクドクとなる心臓の音を確かめる高木を見て
何だか 俺の居場所はない気がした。


健吾は本気だ。


もちろん俺だって本気だ。


だけど 明らかに距離が近いのは健吾だ。


だから………。


高木はきっと "Yes"を選ぶだろう。


「………返事を聞かせて。」




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