恋花よ、咲け。




_____。

「…っはぁ はぁ はぁ はぁ。」


やっとついた噴水の公園。


時刻はもう 8時をとっくに過ぎ
9時になりかけようとしていた。


お母さんにはメールを入れといたから
きっと大丈夫。


「…っはぁ 弘也は……。」


佐々木は確かに ココにいるって言ったのに。


足は何も迷わず グラウンドに向かった。


「…っはぁ…はぁ……はぁー。」


息がやっと整ってきた。


グラウンドへの階段を ゆっくり降りる。


息をそっと殺して バレないように。


グラウンドの隅にあるベンチ。


そこに人影があるのだ。


"伝えてこいよ。

弘也はずっと お前を待ってるよ。"


弘也 私もういいや。


もうどうでもいいんだよ。


ずっと 怖かった。


恥ずかしかった。


だけど 気持ちを伝えないのが
こんなにももどかしくて 虚しくて
あなたとの距離を開かせていくだなんて
私 思いもしなかった。


あの夏の日 あなたが私の近くにいた。


幸せで 毎日が光輝いていて…


こんなにも好きなのに
私ってやっぱりバカだよね。


どうか咲いてほしい。


咲かせてほしい。


私のこの 小さな蕾よ


恋ばなよ…




恋花よ、咲け。





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