恋花よ、咲け。
「潤(じゅん)ー?
次 数学だよね?」
奈穂(なほ)の声に
友達に囲まれて
楽しそうに話していた
奈穂の親友である
潤が反応した。
「んーー?
そうだった!! 教室変わるよねー?」
「そうだょ。 早くいこ!」
奈穂と潤が出会ったのは
1年ほど前。
同じ中学で 同じバスケ部だった。
互いに バスケに対する
熱い思いに共感しあい
気がつけば バスケを越えて
欠けがえの無い存在となっていた。
「数学かぁ…。
特別授業なんて ぶっちゃけ
いらないよねー。」
潤が 愚痴をもらす。
今日から
数学のみ 特別講師による
特別授業が多目的ルームにて
行われる。
1ヶ月程度 その特別授業が続く。
多目的ルームについた奈穂たちは
黒板に記された通り
席についた。
奈穂と潤は 席がかなり離れており
サボれない事に気づいた奈穂は
気分が落ちた。
こんな奈穂にも
恋の兆しがあった。
奈穂にも 恋心はある。
高校に入り 潤とまた一緒に
バスケができる!!…なーんて
甘いことなど 考えてる暇はないのだ。
小学校では 楽しい恋。
中学では バスケが恋人。
青春には
なくてはならない恋をするチャンスを
幾度となく逃してきた奈穂にとって
高校では 恋とバスケの両立が
何よりの目標なのである。