恋花よ、咲け。
flower.6 私じゃなくても 俺じゃなくても
新学期が始まりました。
年は明け 新しい生活がまたやってきます。
_____。
「奈穂ー 早く行くぞー。」
「あっ 分かったちょっと待って!!」
スクールバックから
無理矢理お弁当を引っ張りだす。
「食堂が埋まるー。」
「はーぃ、今すぐっっ!!」
廊下で待つ健吾の腕に ぎゅっと飛び付く。
「よしっ 行こー!!」
弘也とすれ違いながら。
「今日ね 玉子焼きがやたらと多いから
ちょっと分けてあげるね。」
「玉子焼き!? まぢー?」
学校でも かなり評判の高い
公認カップルと言えば 正に私たちだ。
______ぎゅっ。
弘也を見るだけで 私の心はまだ痛む。
健吾のブレザーを掴む手に力を込める。
「…うん、大丈夫。」
優しく微笑むあなたが
私には 天使のように温かく見える。
私たちの関係が こんなにも曖昧になったのは
あの日 あの時 あの場所だった。