恋花よ、咲け。




_____。

「んー!! 玉子焼きうめぇー!!」


食堂の 一番外の光が射し込む
私たちの特等席。


「ホント? お母さんに言っとかなくちゃ。」


こんなにも幸せなのに 私はこの頃
ちょっとおかしいみたい。


弘也が舞未さんを好きになるわけ無いって
なんとなく感じてしまう。


これは自意識過剰かもしれない。


だけど 弘也が私を見る目は
私が弘也を見る目のように 悲しい。


「…ぉ? ……ほ? 奈穂!?」


「っふぇ…!?」


健吾の問いかけに 全く気が付かなかった。


「…奈穂さ………」


健吾が言いづらそうに口を開いたが
結局 何も言わずに話を変えた。


…気を遣わせている。


そんなのは 誰よりもよく分かっていた。


だけど 弘也の"大人な決断"が
どうも気になって仕方がない。


健吾は あの日の公園での事を知らない。


"二人だけの約束"という響きが好きだった。


弘也が私にした 2つ目の約束だった。




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