恋花よ、咲け。




_____。

俺は何で あんなことを言ったんだろう?


あの時ベンチで 舞未が俺の指を
強く握り返したのを確かに感じた。


そして何故だか 高木に言ったんだ。


『…なら俺 お前の白馬の王子さまになる。』


なりたいと思った。


なれるものなら 高木の白馬の王子になって
彼女を拐ってやりたい。


言ったあと 舞未が手を離したのだって
ちゃんと気が付いていた。


俺は 酷い奴だ。


もちろんそんなのは
今に始まったことじゃない。


______ヴーヴー。


ポケットの中の携帯が震えた。


『着信中 --舞未』


「…先生 トイレでーす。」


ガタッと立ち上がり言うと
みんながザワザワと笑いだした。


「何だ瑞月 この問題の答えか?」


「え、数学の答えに トイレってあんの?」


互いに冗談を交えて話すと
クラスの皆は またどっと笑った。


「早く帰ってこいよ!」


「はぃはぃ。」




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