恋花よ、咲け。




奪ってやりたいよ。


今までみたいに。


だけど 今俺が高木に手を出しても
簡単に振り払われるのは目に見えている。


…アイツは俺を好きだった。


そんなのは 分かっていた。


あの日 ベンチで話したあの時。


高木の涙の意味くらい 理解できたさ。


……もう少し早ければ。


あと少し早ければ 俺は舞未を選ばなかった。


てっきり 高木は健吾を選ぶとばかり…


舞未のこと 好きな訳じゃないんだ。


言われたんだ 舞未に。


『私のこと 好きぢゃないでしょ?
なのにどうしてはっきりフラないの?

…私 あのコには負けない。
好きの気持ちなら 絶対負けない。

……1%でもいいんだよ。

弘也の中に 1%でも私がいてくれるなら
それで私は十分なの。

だから お願いがある。
…弘也を振り向かせるため。
その1%に かけてください。」




< 210 / 225 >

この作品をシェア

pagetop