恋花よ、咲け。
クラスがわっとざわめき出す。
それと同時に 南と隼揮がやって来た。
「弘也 帰ろうぜ。」
「今日 帰りにあの可愛い店員さんのカフェ行こーぜ!」
キラキラした目の南に 心が和らぐ。
「ちっ またかよ。
あそこのコーヒー 微妙なんだよ。」
バシッと頭を殴ると
涙目になった南が 俺をきっと睨み付けた。
「…ってぇよ馬鹿!」
いつもと全く同じだ。
何ら変わらない日常。
そこから 俺と高木の"可能性"が消えただけ。
「おごれよな。」
だから今日は 高木と健吾のやり取りに
耳を澄ましたり しなかったんだ。