恋花よ、咲け。




_____。

部活終わり まだまだ寒いなか
マフラーをぐるぐる巻きにした奈穂が
門で俺を待っていた。


「…っあ! 健吾ー!!」


ぴょんぴょん跳び跳ねて手を振る奈穂は
どこまでも可愛く見える。


「ごめんな 寒いのに待たせて。」


いつものように 左手を差し出すと
当たり前のように 手を重ね合わせた。


「うわっ 奈穂の手あったけー!!」


驚いて 奈穂にどうしてか聞くと
奈穂は ポケットの中のカイロを見せた。


「ずっとね 温めてたの。」


「……っっ!!」


また 向日葵のような笑顔で 俺を見つめるんだ。


「健吾の手 温めてあげるー♪」


そう言って 俺の手を握る力を強めた。


「…ありがと。」


優しくこぼすと にっと笑った。


時々 頭をよぎることがある。


『別れよう?』


切ない笑顔で 俺に話す奈穂の姿が。




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